7月16〜18日に開催するワークショップ、「キャリア・カウンセリング」と「キャリア・マネジメント」の内容を事前に少しだけご紹介します。
経営会議
組織(大企業)では、必ず取締役会というのが、定期的に行われている。中小企業でも経営会議が、同じく定期的に持たれている。様々なことがそこで、商法に基づいて、取り決められ、株主総会や主要取引銀行、大手取引先に直接・間接に報告される。
中期経営計画
そこでは現時点(今期)に関する事項も大切であるが、今後5年間に関する将来への見通し(中期経営計画)は大変重要な事項である。これに基づいて、銀行は融資を考え、株主は増資を考慮し、主要取引先も将来の生産計画あるいは販売計画の大事な基礎資料となるからである。
競争の戦略
企業は、商法にあるように永続的な発展を考えていかなければならない。さもなければ、現状維持だけでは、増収減益となり、競争相手から取り残されてしまう。そのためには、たえざる研究開発、戦略的マーケティング、競争戦略の確定が必要とされる。
コンティンジェンシー理論
原理原則的には、OBマクロ(コンティジェンシー理論:初期のODにおいては、ローレンス&ローシュによって、企業が外部環境に随伴するとされた)から、ポッターの競争の戦略へと理論構築されているが、当該企業は、ドメインの革新のために、上場、事業本部制、リ・エンジニアリング、M&A、戦略的マーケティングとあらゆる手段を用いて生き残りにかけている。
戦略的人的資源論
OBミクロ、即ち人事的には、こうした中期経営計画を基にして、人事部や人材バンクは、現在のインハウスでは充当できない、将来必要な人員を青田買いし、ヘッド・ハンティングや人事教育を行う。もしこうした人員の効果的かつ適切な補充が行われないといけない。
キャリア・サバイバル
結果としてシャインがキャリア・サバイバルで言及しているように、新規事業部門の人員は、矛盾・混乱・過剰に直面させられ、当該企業文化をよく熟知している、動機付けや忠誠心の強い、生え抜きの貴重な人員を喪失することになり、新規事業も上手くいかなくなり、生き残りが難しくなる。
JRP(Job Realistic Preview)
人事やキャリア・カウンセラーは、キャリア・カウンセリングにおいて、クライエントの属性や特性のみならず、クライエントの将来に関する可能性をキャリア・アンカーに基づいて支援するのみならず、相手側の雇用先の中期経営計画も考慮に入れて、将来においても必要とされ、また本人も満足して成長していけるようなJRP(Job Realistic Preview)を心がけ、双方(個人のキャリア・アンカーと企業文化)に相性のいい包摂に心がけなければならない。
キャリア・マネジメント
具体的には、アメリカはベンチャー・キャピタルの査定が厳しいので、中期経営計画がしっかりしている。だから、求人の職種もはっきりしているし、任期や報酬もきっちりせざるを得ない。従って応募者も、はっきりした動機づけやしっかりしたコンピテンスが求められる。応募者の自分に対する教育投資(生涯教育)も狙いが定まったものになる。
人材バンク
人材バンクの利用の仕方も、本人の外的キャリアをスパイラルアップさせるための効率的なものとなる。これに比べて、日本は株主や銀行の査定が、まだまだ甘いので、中期経営計画がはっきりしていないことがある。その結果、ジェネラリストとしての求人や、数珠玉採用になる場合がある。
キャリア・カウンセリング
従って、応募者の動機づけもコンピテンスもはっきりせず、マネジメント教育も会社任せにままなってしまう。キャリア・カウンセリングも内的キャリアに焦点を合わせる比率が多くなってしまう。
相性(マッチング)
この点、結婚カウンセラーにも相通じるとことがあり、現時点の当人同士の意思の尊重も重要であるが、嫁ぎ先の生活構造との相性や将来的な展望(転職計画や出産計画・教育出資)とのマッチングも考慮に入れなければならないのと等価であり、同型性が認められる。
Tグループ(位相発達)
こうした知見に基づいて、クライエントの心理的特性と、企業側が要求する職務要件が、上手にマッチングされると、結果として、アガザリアンの指摘するように、企業内小集団や企業間小集団の位相が、ハイ・シナジーに発達していく。それに随伴して個人もグループ内で適切なリーダーとして選出され、排斥されることなく、自己実現していくと思われる。
クルト・レヴィン(リビング・システム)
従って、企業文化の生き残り(環境)と、個人の転職(刺激)は、グループを媒介にして、シンクロ(同期)している反応であるというのが、組織開発(OD)の基になったレビンの場の理論である{反応=F(刺激、環境)}。