7月9〜10日に開催するワークショップ、「ヘルピング」と「プロセスコンサルテーション」の内容を事前に少しだけご紹介します。

ケース1 企業に対するプロセス・コンサルテーション

社長(CEO)がワンマンになってくると、従業員から上がってくる改善提案に耳を傾けなくなる。(図1)
このような状況が放置されると、次第に業績が伸びなくなり、第三者としてのプロセス・コンサルタント(PC)の関わりが必要となる。
プロセスコンサルテーションが介入する前の状況

(図1) PC介入前の状況

PCがCEOと対等に関わり、上手く制動できると、従業員からの改善提案を出しやすい環境となる。(図2)
CEOは従業員だけではなくPCとの関わりを通じて、従業員からの改善提案に耳を傾ける余地が生まれる。CEO、従業員そしてPCという三極がバランスよく関わることで組織の状態は健全に保たれイノベーションが生まれやすい土壌となる。
また、現場の問題を一番よく把握しているのは現場の従業員であるから、適切な改善提案に対して適切な指示が行われるようプロセス・コンサルタントは全体のバランスにとって大きな責任を担っている。
 CEOとプロセスコンサルテーションが対等な立場で関わったことによる関係性の変化

(図2) CEOと PCが対等な立場で関わったことによる関係性の変化

PCが関われば必ず 図2のように良好な関係になるわけではない。以下、3つの例を挙げる。

 

(1) PCが、従業員に直接関与した場合(従業員+PC×CEO)

現場の影響に支援が偏り、CEOから降りてくる指示の質は変化しないままであり、PCが従業員に加勢する形でCEOとの対決が生まれてしまう。(図3)
従業員プラスプロセスコンサルテーション対CEOという対決の構図

(図3) 従業員+PC対CEOという対決の構図

(2) PCがCEOの影響を強く受ける場合(CEO > PC)

PCが自身のコンサルティング契約を継続したいなどの理由により、組織のメリットよりもCEOの意向を反映した提案をしてしまうことがある。(図4)
(図4) CEOの意向に偏った提案がなされ、CEOと従業員の関係性が改善されない状況

(図4) CEOの意向に偏った提案により、CEOと従業員の関係性が改善されない状況

(3) PCが診断的に関わる場合(CEO < PC)

大学の教授や、大手コンサルテーション会社など、社会的認知度の高いコンサルタントにより診断された結果は、社内でも権威あるデータとして認識されやすい。そのため、PCが提示するデータを解雇する根拠として利用されることがある。(図5)
プロセスコンサルタントが診断的に関わることで、従業員を恣意的に解雇する状況

(図5) PCが診断的に関わることで、従業員を恣意的に解雇する状況

CEO、従業員そしてPCという三極の関係性は、アメリカの契約社会が前提となっており西洋的な概念といえる。この考え方を東洋的に解釈すると、必ずしもフラットな三者関係が良いとはいえず、むしろ感謝や信頼関係が組織を活性化させる場面も少なくない。

 

ケース2 カウンセリングにおけるプロセス・コンサルテーション

次に、セラピストとクライアント(CL)の関係を考える。セラピストとCLの間に、先生と生徒のような関係が継続していると、セラピストの考え方を押し付けるカウンセリングへと陥る。(図6)
これは、CLの自立を妨げ、CLがセラピストに依存することを助長するため良くない状態である。
セラピストとクライアント、2者の上下関係が常態化した状況

(図6) セラピストとクライアント、2者の上下関係が常態化した状況

 

企業に対するPCのように、セラピストに対してはスーパーバイザーのスーパービジョン(SV)がセラピストの客観性を保てるよう作用する。(図7)セラピストの客観性を欠く指導に対して指摘がなされ、CL側からの依存を解消し自立できるよう健全な状態を保つことへと繋がる。
スーパーバイザーが適切に作用したことで、セラピストとCLの関係が改善された状況

(図7)
SV機能が適切に作用し、セラピストとCLの関係が改善された状況

 

ケース3 公企業におけるプロセス・コンサルテーション

最後に、公企業におけるプロセス・コンサルテーションを考える。一例として、被災地におけるNPOや公企業(自治体等)の支援に当てはめたい。(図8)
自治体等だけで支援内容を決定してしまうと、現地で必要としているものが供給されず、一方で現地に供給過多となっているものが集中するというような事態になることがある。
自治体等で一方的に被災地への支援内容を決定している状況

(図8) 自治体等で一方的に被災地への支援内容を決定している状況

 

この問題を解消するためには、自治体等にまかせっぱなしにするのではなく、ボランティアも一緒になって支援を行うべきだろう。(図9)
前述のケースと異なる点は、被支援者も積極的に関わることで、現地の状況を把握した計画的かつ的確な支援が行えることである。
自治体等とボランティアに加え、被災地の人たちも支援に関わる状況

(図9) 自治体等とボランティアに加え、被災地の人たちも支援に関わる状況

 

ここまでで、プロセス・コンサルタントの関わり方を複数例挙げた。いずれの状況にも共通する支援の原則は、三極で考えていかなければならないということである。

 

エドガー・シャイン著、プロセスコンサルテーション

エドガー・シャイン(著) 「プロセスコンサルテーション」